2026年7月21日
在庫管理をAIで改善する方法|過剰在庫と欠品を同時に減らす
結論からお伝えします。過剰在庫と欠品の同時発生は、AIの需要予測で「発注の根拠」を変えると解消に近づきます。在庫を減らせば欠品が増え、欠品を恐れれば在庫が膨らむ。この板挟みは、発注の仕組みを変えないと抜け出せません。
私たち株式会社猛烈エンジニアリングは、愛媛県を拠点にAI・システム開発で中小企業を支援しています。この記事では、在庫管理にAIを入れると何が変わるのかを現場目線で解説します。
この記事でわかること
- 過剰在庫と欠品が「同時に」起きる本当の原因
- AIで変わる在庫管理の4つの機能
- AIに任せる部分と、人が判断すべき部分の境界線
- 今あるExcelや販売データから始める現実的な進め方
発注を担うベテラン社員の採用は、年々難しくなっています。退職とともに、発注のノウハウも失われかねません。
なぜ「在庫が多いのに欠品する」のか
過剰在庫と欠品の同時発生は、勘と経験に頼った発注と、データの分断が原因です。
倉庫には商品が山積みなのに、売れ筋だけが欠品する。矛盾しているようで、実は同じ根っこから生まれる現象です。
多くの会社では、発注量をベテラン担当者の経験で決めています。人の記憶は「欠品して怒られた記憶」に強く引っ張られがちです。その結果、動きの鈍い商品まで多めに発注し、在庫全体が膨らみます。
一方で、売れ筋の需要変動には人の感覚が追いつきません。天候・曜日・季節・地域の行事など、変動要因が多すぎるためです。守りの発注で総量は増えるのに、肝心の商品は足りない。これが同時発生の正体です。
もう1つの原因がデータの分断。販売データはPOSやECに、在庫はExcelに、発注履歴は紙やFAXに散らばっている状態です。私たちが愛媛県内の企業からご相談を受ける中でも、「数字はあるのに、つながっていない」というケースを何度も見てきました。
製造業では部材ごとに発注リードタイムが異なります。動きの遅い部材が積み上がる一方、肝心の部材だけ欠品する例が典型的です。
AIで変わる在庫管理の4つの機能
AIによる在庫管理は「需要予測発注」「滞留在庫の検知」「欠品リスクの先読み」「棚卸しの効率化」の4つに整理できます。
それぞれ何ができるのか、表で整理します。
| 機能 | 何をするか | 期待できる変化 |
|---|---|---|
| 需要予測に基づく発注量提案 | 過去の販売実績や曜日・季節性から品目ごとの需要を予測し、発注量の案を提示 | 勘に頼った「多めの発注」が減り、一般に在庫総量の圧縮が見込まれます |
| 滞留在庫の検知 | 一定期間動きのない在庫を自動で洗い出し、リスト化 | 値引き販売や発注停止の判断が早まります |
| 欠品リスクの先読みアラート | 予測需要と現在庫を突き合わせ、欠品しそうな品目を事前に通知 | 「気づいたら欠品」が減り、一般に販売機会の損失を抑えやすくなります |
| 棚卸しの効率化 | 実在庫とデータのズレを検知し、確認すべき対象を絞り込み | 全品目を数える負担が軽くなります |
卸売業のように多品種を仕入れる会社ほど、人の目だけでの滞留チェックは追いつきにくくなります。
中でも効果の中心は需要予測です。私たちも食品物流の現場で、AI需要予測を作業量の見通しやシフト計画に活かすプロジェクトに取り組んできました。詳しくは食品物流におけるAI需要予測の事例で解説しています。
また、在庫は受発注業務と表裏一体です。FAXや電話の注文をAIでデータ化する取り組みは、受発注業務をAIで自動化する方法にまとめています。
AIに任せる部分と、人が判断する部分
AIは「過去データから読める未来」に強く、過去にない変化には弱いため、人の補正が前提になります。
ここを正直にお伝えしないと、導入後に必ずギャップが生まれます。AIの需要予測は万能ではありません。
| 領域 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 定番品の日常的な発注量 | AI | 過去データにパターンがあり、予測精度を出しやすい領域 |
| 滞留・欠品リスクの検知 | AI | 大量の品目を毎日チェックする作業は機械の得意分野 |
| 新商品の初回発注 | 人 | 過去データがなく、AIは類似品からの推測しかできません |
| 特売・キャンペーンの上乗せ | 人 | 販促の意図は、データに現れる前に人が知っています |
| 急な市況変化・災害時の対応 | 人 | 過去にないパターンでは、AIの予測が外れやすくなります |
つまり、AIが日々の大半の発注案を作り、人は例外だけを見る体制。この形なら現実的に回ります。「AIに全部任せて放置」ではなく、人の判断を例外に集中させる仕組みだと捉えてください。
従業員10〜50名の会社では、発注担当が1〜2名に集中しがちです。その分、AIによる下支えの効果が出やすい規模帯といえます。
在庫管理のAI化は、販売データの質や業種によって進め方が変わります。「うちの場合はどうなるのか」を知りたい方は、まず話を聞かせてください。従業員10名規模の会社からのご相談実績もあります。
導入に必要なデータと現実的な進め方
特別なシステムは不要で、今あるExcelや販売データからスモールスタートできます。
「AIには大がかりなデータ基盤が必要」と思われがちですが、出発点はもっと身近です。最低限そろえたいのは次の3つ。
- 品目ごとの販売実績(POS・EC・売上台帳など**。1〜2年分**が目安)
- 現在の在庫数(Excel管理のままで構いません)
- 発注履歴(いつ・何を・いくつ発注したか)
進め方は段階を踏むのが堅実でしょう。まず売れ筋の上位品目だけでAIの発注提案を試し、人の発注と精度を比べます。効果を確かめてから、対象品目を広げていきます。この順番なら投資リスクを抑えられます。
現場を拝見すると、データが「ない」のではなく「散らばっているだけ」の会社がほとんどです。データの整理とつなぎ込みから伴走することが、私たちの開発スタイルとして重要です。
まとめ|発注の根拠を変えれば、在庫の矛盾は解ける
過剰在庫と欠品の同時発生は、AIの需要予測と人の例外判断を組み合わせることで、一般に改善が見込まれます。
最後にポイントを整理します。
- 同時発生の原因は、勘の発注とデータ分断
- AIの守備範囲は需要予測・滞留検知・欠品アラート・棚卸し効率化
- 新商品・特売・市況変化には人の補正が必須
- 出発点は、今あるExcelと販売データで十分
導入後もそのままではありません。AIは毎月の実績を学習し、発注提案をチューニングし続けます。使うほど精度が上がる仕組みです。
株式会社猛烈エンジニアリングは、システム開発からAI導入、補助金活用まで一気通貫で支援しています。まずは自社のデータで何ができるか、確かめてみませんか。


