2026年7月21日
既製SaaSが合わない会社の特徴|自社専用システムを検討すべきサイン
結論からお伝えすると、多くの会社は既製SaaSで十分です。自社開発を検討すべきなのは、業務の型がSaaSに収まらない一部の会社だけです。 ただし、その一部に当てはまる会社がSaaSを使い続けると、二重入力やExcelの橋渡しが増えます。人が採れず、辞めていく中で、その手間にただでさえ少ない人手が吸われています。月額費用がかさむだけでなく、人手が二重入力に取られ続けます。
この記事は、SaaSを試したものの定着しなかった経営者の方に向けたものです**。自社専用システムを検討すべきサイン**と判断フレームを整理しました。
この記事でわかること
- 既製SaaSが「合う会社」と「合わない会社」の違い
- 自社専用システムを検討すべき7つのサイン
- SaaS継続・乗り換え・自社開発の判断フレーム(比較表)
- 自社開発を選ぶ場合の費用・期間・進め方の現実
まず前提:多くの会社はSaaSで十分です
最初にお伝えしたい結論は、大半の業務はSaaSのほうが安く速く解決できるという事実です。私たちはシステム開発会社ですが、相談の場で「それはSaaSで十分です」とお答えすることが珍しくありません。
SaaSの強みは3つあります。初期費用が小さいこと。導入が速いこと。そして保守やセキュリティを事業者側が担ってくれることです。
会計・勤怠・給与のように、法制度に沿って全社共通の型がある業務はSaaSが最適でしょう。この領域をわざわざ自社開発するメリットは、ほぼありません。
問題は、自社の競争力の源泉になっている業務にSaaSを当てはめたときに起きます。つまり「よそと同じやり方では困る業務」です。
既製SaaSが合わない会社の7つのサイン
結論はシンプルです。以下の7つのうち3つ以上当てはまるなら、自社専用システムの検討ラインに乗っています。
| # | サイン | 現場で起きていること |
|---|---|---|
| 1 | 業務に例外ルールが多い | 「この得意先だけ特別対応」がSaaSの設定で表現できない |
| 2 | 複数SaaS間で二重入力が発生 | 受注をAに、請求をBに手で入れ直している |
| 3 | Excelでの「橋渡し」が常態化 | SaaSからCSVを落とし、加工して別SaaSへ取り込む |
| 4 | 月額の累積が開発費に迫る | 複数SaaS×ID課金で年間コストが積み上がっている |
| 5 | 基幹業務なのに機能へ業務を合わせている | 本来のやり方を捨て、SaaSの型に現場を曲げている |
| 6 | 現場が使わず「裏Excel」が生きている | 正式ツールとは別に、個人管理の台帳が残っている |
| 7 | 欲しい改修が「要望を送って終わり」 | ベンダーに要望を出しても、優先度が回ってこない |
とくに注意したいのがサイン5です。会計のような共通業務なら、業務を機能に合わせるのが正解です。しかし基幹業務で現場をSaaSの型に曲げると、強みそのものが削れていきます。
建設業では、工事台帳の原価管理項目が既製SaaSの入力欄に収まらないことがあります。
私たちが愛媛県内の現場で見たのは、SaaSに合わせて受注の締め時間を変えた会社でした。得意先への対応が遅れ、信頼を落としかけていました。まさに本末転倒。
サイン2と3は、セットで現れることが多い症状です。二重入力の吸収役として誰かがExcelを挟み、その人が休むと業務が止まる**。属人化の温床**になります。
乗合代理店の保険業では、契約管理システムへの顧客情報の二重入力が典型的なサインです。
SaaS継続・乗り換え・自社開発の判断フレーム
判断の軸は「業務の特殊性」と「コストの構造」の2つに集約できます。以下の表で、自社の現在地を確認してください。
| 状況 | 推奨する選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 業務が一般的で、SaaSの型に大きな不満がない | SaaS継続 | 最も安く速い。開発は不要 |
| 不満はあるが、別のSaaSの機能で解決できる | SaaS乗り換え | 開発より低リスク。移行コストだけ比較する |
| 例外ルールが多く、どのSaaSでも二重入力が残る | 自社開発を検討 | 型に収まらない業務は、作るほうが安くなり得る |
| 基幹業務で、SaaS月額の累積が開発費を超えつつある | 自社開発を本格検討 | 5年総額で逆転するケースが多い |
従業員10〜50名の会社では、SaaSのID課金が人数分積み上がりやすくなります。
ポイントは、いきなり「SaaSか自社開発か」の二択にしないことです。まず乗り換えで解決できないかを検証します。それでも残る不満だけを開発対象にすると、失敗が減ります。
SaaSの型と自社の業務を比べた実例は、卸売業の受発注システム開発事例も参考にしてください。
どこに当てはまるか迷う場合は、業務フローを見せていただければ弊社で切り分けます**。従業員10名規模の会社からの支援実績**があり、規模のご心配は不要です。
自社開発を選ぶ場合の現実(費用・期間・段階導入)
結論から言うと、いまの自社開発は**「小さく作って段階導入する」方式が主流**です。一括で大きく作る従来型より、格段に始めやすくなりました。
費用の目安は規模で大きく変わります。一般に、単一業務の置き換えなら数百万円台からです。基幹業務全体に及ぶ場合は、1,000万円を超える規模感になります。
見積書の内訳の読み方や相場観は、システム開発の費用相場と見積もりガイドにまとめています。投資判断の前に、ぜひ目を通してください。
期間は、最初の業務が動き始めるまで3〜6ヶ月が一つの目安です。全業務を一度に置き換えず、二重入力が一番ひどい箇所から着手するのが定石です。
段階導入には副次的な利点もあります。最初の1業務で開発会社との相性を確かめられ、大きな投資判断を後ろに送れる点です。
なお、AIによる開発効率化で、同じ予算でも作れる範囲は広がっています。数年前に見積もりを取って諦めた方は、前提を更新する価値があるでしょう。
自社開発が完成しても、そこで終わりではありません。導入後もAIが利用状況を分析し、毎月改善提案を届けます。システムは使うほど育っていきます。
まとめ:判断の起点は「業務をどこまで曲げられるか」
最後に整理すると、共通業務はSaaS、競争力の源泉となる基幹業務だけ自社開発という組み合わせが最も無駄のない選択です。SaaSを否定する必要も、開発を急ぐ必要もありません。
7つのサインのうち3つ以上に心当たりがあるなら、行動は一つです。年間のSaaS費用と手作業の時間を、まず書き出してみてください。数字にすると、判断は一気に楽になります。
株式会社猛烈エンジニアリング(代表: 藤井達也)は、愛媛県大洲市を拠点とする開発会社です。SaaS継続の判断も含めて中立にご提案し、「開発ありき」の営業はしません。システム開発からAI導入、業務改善、補助金の活用まで一気通貫で支援します。


